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関口 哲弘; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1999, Part B, P. 325, 2000/11
X線照射により固体状分子が分解する場合、表面・界面では表面垂直方向と水平方向で分子のもつ向きにより置かれた化学環境が異なるため、分解過程や最終的な分解生成物パターンや、収量などが異なってくると予想される。これを研究するため、われわれは超高真空容器内で回転することができる飛行時間質量分析を備えた装置を開発し、直線偏光をもつパルス放射光を使った実験を行った。双極子遷移選択則を使い、X線により共鳴励起を行うことにより任意の分子軸(または結合軸)方向を持つ分子集団を電子励起することができる。テスト段階として水、ベンゼン、ホルムアミド、ギ酸固体の軟X線照射実験を行った。分子配向に依存して、分解収量が異なる結果などが得られた。
中本 忠宏; 中田 正美; 中村 彰夫
Recent Research Developments in Inorganic Chemistry, 2, p.145 - 163, 2000/00
ネプツニル(+1)ギ酸塩錯化合物:(1)(NH)[NpO(OCH)]及び(2)[NpO(OCH)(HO)]の磁気的性質を、磁化測定及びNPメスバウア分光法を用いて調べた。(1)は2-300Kの範囲でキューリーワイス型の常磁性体、(2)は飽和磁化1.23/NPを持つTc=12Kの強磁性体であることを明らかにした。それらのNpメスバウアスペクトルは、(1)が低温で常磁性緩和を示すのに対し、(2)は綺麗に分解した磁気分裂スペクトルを与えた。磁化率及びNpメスバウアスペクトルの測定結果を、これらのネプツニル(+1)錯体に特徴的な一軸性O=Np=0結合に伴うNp5b磁気モーメントのアイジング的な振舞、L-S結合、一軸性の結晶場(配位子)分裂等の項を適切に考慮に入れることにより、初めて理論的に満足にかつ定量的に解析することに成功した。
関口 広美*; 関口 哲弘
Surface Science, 433-435, p.549 - 553, 1999/00
被引用回数:26 パーセンタイル:76.83(Chemistry, Physical)SiC材料に関連した系であるSi(100)21基板上の単分子吸着ギ酸(HCOO)の構造(結合角)を炭素KVV-オージェ電子収量法によるX線吸収端微細構造(NEXAFS)測定により調べた。NEXAFSスペクトルの各ピーク強度は顕著な偏光角依存性を示した。観測された4本の共鳴ピークは吸着フォルメート(HCOO)の分子面外遷移()と3本の分子面内遷移()と帰属された。双極子遷移の選択則からCHO分子面は表面垂直(100方向)に対し212°傾いていると結論された。電子線回折実験によると気相HCOOSiH分子のO=C-O-Siの二面体角は21°であり、吸着種のCHO面の傾き角とよく一致している。ギ酸メチル(HCOOCH)では相当するねじれ構造はなく、この違いはSi-O結合にイオン性寄与があることに起因すると示唆された。
溝口 研一*; 山口 五十夫; 森田 泰治; 藤原 武; 久保田 益充
JAERI-Research 97-071, 27 Pages, 1997/10
4群群分離プロセスにおけるTc-白金族元素分離工程の最適化を目的として、DIDPA抽出ラフィネートを模擬した液(模擬ラフィネート)に対して元素濃度、硝酸濃度、脱硝時の加熱方法などを変えて脱硝を行い、脱硝後の液の酸濃度及び元素の沈殿率などを調べた。模擬ラフィネートを非常に強く加熱して脱硝した場合、模擬ラフィネートを脱硝前に濃縮することが、白金族元素を効率的に沈殿として分離する上で重要であることがわかった。模擬ラフィネートに対して濃縮せずに脱硝を行う場合は、昇温速度があるしきい値以下で、かつ昇温後の液温が95C以上になるような条件で加熱すれば、白金族元素を沈殿分離できることがわかった。また、模擬ラフィネートの脱硝反応の進行について確認した。
関口 哲弘; 関口 広美*; 田中 健一郎*
Atomic Collision Research in Japan, (23), p.84 - 85, 1997/00
電子励起による固体表面からのイオン種の脱離過程は、二次イオン質量分析(SIMS)及び電子刺激脱離(ESD)などの表面分析における重要かつ基礎的な過程である。本研究は選択励起されたSi(100)表面上の吸着ギ酸分子(DC00-)の分解及び脱離課程を光イオン・光イオン・コインシデンス分光法により調べた。C-Dコインシデンス収量の励起エネルギー依存性を詳細に測定し、敷居エネルギー等を決定した。C-Dは炭素内殻励起で生じ、酸素内殻励起ではほとんど増加を示さない。また二電子イオン化(shake-off)の断面積が一電子イオン化(normal)に比較して10%以下であるにもかかわらず、C-D収量はshake-off領域でnormal領域の2倍以上に増加した。このことから、脱離前駆体のイオン価数及び初期光励起における内殻ホールの位置がどの原子にあるか等がイオン脱離反応において重要であることが見い出された。
関口 広美*; 斉藤 則夫*; 鈴木 功*; 関口 哲弘
Atomic Collision Research in Japan, (23), p.80 - 81, 1997/00
凝集ギ酸メチル(DCOOCH)からの光刺激イオン脱離反応においていくつかの共鳴励起によりフラグメントイオン収量が増加することが観測されている。本研究はそれが表面反応に特有なものであるかどうかを確かめる目的で気相DCOOCH分子の光分解実験を行った。実験は電総研TERAS放射光施設おける軟X線ビームラインの飛行時間質量分析装置を用いて行った。表面反応ではC(C-D)(C-D)の励起でD収量が大きく増加したが、気相反応ではそれほど増加しなく、一方でC(CH)(CH)励起でD収量は減少した。気相では単分子反応が起こり中性化が起こらないため量子収率の変化は分子の分解による収量減少という形で表れる。それに対して、表面反応では中性化反応が起こるため量子収率の変化は表面分子の励起状態での反発性を反映して収量増加という形で表われる。上記の結果は光刺激イオン脱離法が表面敏感な分析手法であることを示している。
関口 広美*; 関口 哲弘
Atomic Collision Research in Japan, (23), p.82 - 83, 1997/00
光刺激イオン脱離収量の内殻吸収端微細構造(PSID-NEXAFS)スペクトルは特定の表面吸着種の空軌道の性質等の局所的情報を与えると期待されている。本研究においては、Si基板に単分子吸着したDCOO吸着種からの酸素内殻励起領域におけるPSID-NEXAFSを高分解能軟X線分光器を用いて測定した。結合エネルギーの化学シフトを利用して、二種類の酸素を選択して内殻励起し、それぞれの励起で起こる脱離反応収量の違いを調べた。ヒドロキシ基酸素(-O-)の励起によりCDOイオン収量が増加し、カルボニル基酸素(C=O)の励起ではCD収量が増加した。このことから選択励起された原子の近傍で優先的に結合切断及び脱離が起こることが明らかにされた。また、O収量はカルボニル基酸素の励起で増加した。この結果は、ヒドロキシ酸素が基板のSi原子に直接結合しているため励起エネルギーが基板に散逸したためと考えられる。
関口 哲弘; 関口 広美*; 小尾 欣一*; 田中 健一郎*
J. Phys., IV, 7, p.505 - 506, 1997/00
ギ酸メチル吸着系の炭素(C)および酸素(O)K殻励起により起こる光刺激イオン脱離反応をパルス放射光を利用した飛行時間質量分析(TOF)法により調べた。CおよびO 1s内殻電子励起によりH,D,CH,O,OCH(n=0~3)などの脱離イオン種がTOFスペクトル上で帰属された。また、これらのイオン収量の励起波長依存性を定量的に測定した結果、いくつかの共鳴内殻励起で励起状態における電子構造を顕著に反映して脱離収量が増加することがわかった。脱離機構を更に調べるため、脱離イオン同士での光イオン-光イオン-コインシデンス(PIPICO)実験を試みた。その結果(H-CH),n=0~2コインシデンス・ピークが観測され、またCHイオン収量の励起スペクトルと一致した。このことから、脱離イオン収量の共鳴励起増強効果のモデルとして表面上での多価イオン生成が関与していることが示された。
関口 広美*; 関口 哲弘
Surface Science, 390(1-3), p.214 - 218, 1997/00
被引用回数:9 パーセンタイル:53.09(Chemistry, Physical)我々は炭素原子一つを持つギ酸吸着系(DCOO/Si)において、炭素K殻から3種類の異なる空軌道への遷移の結果、分子軌道が関与した結合が切断されて生じる脱離フラグメントの収量が増加することを既に報告した。本研究においては高分解能軟X線分光器を用いることにより酸素内殻励起領域においてDCOO吸着種の二種類の酸素を選択的に内殻励起し、それぞれの励起で起こる脱離反応収量の違いを調べた。ヒドロキシ酸素(-O-)の励起によりCDOイオン収量が増加し、カルボニル酸素(C=O)の励起ではCD収量が増加した。このことから非局在効果が大きいと考えられる電子をもつ有機分子吸着系においても選択励起された原子の近傍で優先的に結合切断及び脱離が起こることが明らかにされた。また、基板との相互作用が弱いカルボニル酸素励起の方がO+脱離が顕著であり、相互作用が強いヒドロキシ酸素の励起では脱離が顕著でないといった表面特有効果が見い出された。
関口 哲弘; 関口 広美*; 田中 健一郎*
Surface Science, 390(1-3), p.199 - 203, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:33.04(Chemistry, Physical)放射光励起によって引き起こされるイオン脱離反応は表面反応の解明や表面状態および構造に関する知見を与えるものとして近年注目を集めている。イオン脱離反応の機構をより深く理解するためには、励起により表面上に生成する多電荷イオン中間体をなるべく直接的に観測することが望ましい。本研究は気相の光化学反応過程を調べるのによく用いられる手法である光イオン・光イオン・コインシデンス分光法を表面反応に応用することにより多電荷イオン中間体の反応挙動を調べたものである。HO/Si(100),DCOOD/Si(100)DCOOCH multilayer試料の結果を示すとともに、各々の結果を比較した。その結果(1)コインシデンスの励起スペクトルは多電子励起領域で大きな増加を示すこと、(2)これら励起スペクトルの立上がり敷居エネルギーは吸着種と基板(又は周囲吸着種)との相互作用を反映して、各々大きく異なること、等が見出された。
関口-池浦 広美*; 関口 哲弘; 田中 健一郎*
Physical Review B, 53(19), p.12655 - 12658, 1996/05
被引用回数:28 パーセンタイル:79.44(Materials Science, Multidisciplinary)Si(100)上に化学吸着した重水素置換したギ酸からの光刺激イオン脱離反応について結合を選択したC 1s電子励起によって研究を行った。各イオン収量は励起エネルギーに強く依存し、特定の反結合性軌道への励起によって選択された結合が切れ、それによりイオン収量が増大することを見い出した。結果は吸着系での内殻イオン脱離に対して提出された2ホール1電子反応機構の妥当性を示した。更に(C-D)/3S Rydberg混合励起状態に相当する共鳴ピークで、Dピークは(C-D)価電性励起に、CDピークはRydberg性励起に分離されることが見出された。また、INDO/CI分子軌道法による励起電子状態理論との比較を行い脱離機構を考案した。
関口 哲弘; 関口 広美*
Atomic Collision Research in Japan, 0(22), p.89 - 90, 1996/00
ギ酸メチル分子のいくつかの内殻励起状態における波動関数が各官能基や結合に局在しているという研究背景を元に、高エネルギー分解能の軟X線分光器により内殻励起状態を選択励起することにより「結合を選択した光化学反応」の可能性を検討した。実験手法としてはパルス放射光を用い、同位体置換ギ酸メチルの吸着系から脱離するイオン種を飛行時間質量分析法により観測した。各イオン収量の励起スペクトルは吸収スペクトルとかなり異なり、イオン脱離確率が初期内殻励起にかなり依存していることが見出された。特にDとCHイオン脱離確率が大きく増加した励起はC 1s(CH)(O-CH)とC 1s(C=O)(C-D)といった反結合性軌道への電子遷移による結果であると解釈された。この結果は励起エネルギーを変化させることにより分子内の反応部位(サイト)を任意に選択することができる可能性があることを示したものである。
池浦 広美*; 関口 哲弘; 田中 健一郎*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 80, p.121 - 124, 1996/00
被引用回数:4 パーセンタイル:26.09(Spectroscopy)高分解能放射光源による状態を選別した内殻励起を行い、X線吸収端微細構造領域における軟X線光化学反応を調べた。Si(100)上に化学吸着させたDCOO分子から内殻励起により脱離するイオン・フラグメント種をパルス放射光を利用した飛行時間質量分析法により検出及び同定を行うことに成功した。C 1s内殻励起によりD、CDO、O、CDなどのイオン種がかなりの信号量で観測された。更に、各イオン生成物分布の励起エネルギー依存性を測定した結果、各イオン種の脱離確率が初期励起にかなり依存することが見出された。特にD収量とCDO収量がそれぞれ(C-D)と(C-O)共鳴励起で選択的かつ顕著に増加した。この結果は空軌道の反結合性が脱離に寄与していることを示している。
関口 広美*; 関口 哲弘; 田中 健一郎*
Photon Factory Activity Report, (14), P. 18, 1996/00
放射光を利用した光刺激イオン脱離収量スペクトルは特定の表面吸着種の空軌道の性質や内殻電子軌道といった局所的情報を提供すると期待されている。本研究においては、Si基板に単分子吸着したDCO1)O2)吸着種のカルボニル酸素(O1))とヒドロキシ酸素(O2))を化学シフトの違いにより選択して内殻励起できることを利用してそれぞれの励起で起こる脱離反応収量の違いを調べた。O(C-O2))(C-O2))励起ではCPOイオン収量が増加し、O(C=O1))(C-O2))励起ではCD収量が増加した。また、O収量はO(C=O1))(C=O1))及びRydbergの励起で増加する等の結果が得られた。選択励起された原子の近傍で優先的に結合切断が起こり脱離することが見出された。
関口 哲弘; 関口 広美*; 小尾 欣一*; 田中 健一郎*
Photon Factory Activity Report, (14), P. 257, 1996/00
本報告書は高エネルギー研究機構・放射光実験施設において研究課題番号94G-360に基づいて行われた研究の活動内容を報告したものである。本研究課題においては主に光イオン・光イオン・コインシデンス分光法を駆使して吸着分子の多価イオン化状態からの分解及び脱離反応の機構を調べた。ここでは特に吸着ギ酸分子(DCOO-)のイオン脱離について記載した。C-DとO-Dのイオン対生成収量の励起エネルギー依存性を測定した結果、C-Dは炭素内殻励起で生じ、O-Dは酸素内殻励起で生じるという結果が得られた。また、これまでのいくつかの測定結果から、イオン対はいつも初期内殻励起された原子の脱離イオン種ともう一方の脱離イオン種との対として生じるという規則があることが見出された。これらのことは脱離が起こる時間内においてオージェ過程により生成した正孔が初期励起された原子近傍にかなり局在していることを示した。
関口 広美*; 関口 哲弘; 田中 健一郎*
Photon Factory Activity Report, (13), P. 207, 1995/00
内殻励起によるギ酸多分子層吸着系から光刺激イオン脱離反応を調べた。脱離イオン種の検出・同定はパルス放射光を利用した飛行時間質量分析法により行った。KEK-PFのBL11Aからの単色軟X線を光源とし、種々の脱離イオン収量のC-K吸収端における励起エネルギー依存性を測定した。また、C-KVVオージェ電子収量測定を行い、光吸収断面種曲線を得、それらを比較した。その結果、Dのみが(C-D)共鳴励起で顕著に増加することがわかった。吸収ピーク極大はイオン種のそれより1.7eV高エネルギー側に位置する。イオン脱離が表面感度が高いこと、イオンピーク極大が単分子層のイオン及び吸収ピーク、気相吸収のピーク全てに一致していることから、この結果は最表面分子が孤立分子的であり、それがイオン脱離に観測されたためと結論した。この結果はまた、(C-D)軌道が強反結合性であることも要因の一つであると考えられる。
関口 哲弘; 関口 広美*; 小尾 欣一*; 田中 健一郎*
Photon Factory Activity Report 1995, Part B, P. 18, 1995/00
エステル分子をモデル分子として軟X線と凝集有機分子との相互作用を調べた。まず分子内のどの結合が切断されたかがわかるよう、ギ酸メチル分子の同位体置換体を用い、パルス放射光励起により凝集層から脱離するイオン種をTOF法で検出した。その結果、いくつかの共鳴内殻励起で励起状態を顕著に反映して脱離収量が変化することがわかった。更に、脱離機構を詳細に調べるため、脱離イオン・脱離イオン・コインシデンス(PIPICO)スペクトルとその励起エネルギー依存性の測定を行った。その結果、イオン収量の共鳴増大が観測される励起エネルギーとPIPICO収量がピークを示す励起エネルギーとが一致することがわかった。このことから、イオン収量の共鳴増大のメカニズムとして表面層での多価イオン生成過程が含まれると結論された。
M.J.Lee*; 新井 英彦; 宮田 定次郎
Chemistry Letters, 0(6), p.1069 - 1070, 1994/00
t-ブタノールは、オゾン酸化あるいはオゾン併用照射によって容易には分解されない物質である。しかしながら、微量(10モル/l以下)の銅(II)イオンの添加により全有機炭素(TOC)の除去速度が増大することが見い出された。反応主成物としてアセトン及び各種の有機酸の生成が認められたが、これらの生成物のうち、特に有機酸類が銅イオンの添加により分解が促進されることがわかった。
白橋 浩一; 久保田 益充
Journal of Nuclear Science and Technology, 29(6), p.559 - 565, 1992/06
高レベル放射性廃液のギ酸による脱硝時におけるPu、NpおよびAmの沈殿挙動について模擬廃液を用いて研究した。また、脱硝時に生成した沈殿物からの超ウラン(TRU)元素の回収のため、シュウ酸溶液による沈殿物の溶解法についても研究した。脱硝による高レベル廃液の酸性度の低下に伴い、TRU元素の沈殿率は増加した。日本原子力研究所で開発されている群分離プロセスで採用されている[HCOOH]/[HNO]=1.5での脱硝時において、NpおよびAmの沈殿率はそれぞれ0.6%および0.06%とわずかであったが、Puは90%が沈殿した。PuおよびNpの沈殿率は、Pu濃度610~610MおよびNp濃度10~10Mの範囲内で濃度依存性を示さなかった。Puは重合や加水分解により沈殿しているのではなく、Mo,Zr等の他元素と共に沈殿していることがわかった。1lの高レベル放射性廃液を脱硝したとき発生する沈殿物は0.5Mシュウ酸800mlで溶解できることがわかった。
近藤 康雄; 久保田 益充
Journal of Nuclear Science and Technology, 29(2), p.140 - 148, 1992/02
現在、原研で開発を進めている改良群分離プロセスを模擬した。ギ酸による連続脱硝プロセスにおける白金族元素の模擬高レベル廃液からの沈殿挙動を実験的に調べた。Ru,Rh及びPdの沈殿率は、脱硝後の溶液のpHに依存し、PdはpH2付近でその殆どが沈殿した。また、Ru及びRhの沈殿率は、脱硝後の溶液のpHが増大するにつれて増加し、pH6.5以上では沈殿率は98%以上となった。連続脱硝法は、高レベル廃液から白金族元素を回収するための優れた方法であるといえる。一次脱硝後のろ液に、硝酸に対してモル比2.0のギ酸を加えて再脱硝すれば、98%以上のRh及びPd、約80%のRuを高レベル廃液から沈殿として回収できた。また、二次脱硝を行う前に、溶液中にNd等の希土類元素を添加することによって、白金族元素と同時に析出する卑金属元素の量を低減できることが明らかとなった。